「JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド」の感想

JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド

JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド


Javaより先にRubyを学んでしまった僕は言ってみれば「Ruby から Javaへ」の人間だ。
それでも社会人になってから「Rubyだったら楽なのになぁ」と何度思ったことだろう。


新人の頃尊敬する協力会社の方に
「なんで、Rubyで開発できないんでしょうね」
と尋ねた。


「先進的過ぎて、5年先くらいにならないと浸透し始めないんじゃないでしょうか・・・」


と答えてくれた。


実際5年後になった今、浸透は始まっている。


この本タイトルは「JavaからRuby・・・」だが、不思議な既視感を感じたのが印象的だった。
そして、読み進むうちに


「そうそう、そうなんだよ。僕が言いたかったことは」


というフレーズに何度も出くわすのだ。

例えば、3.2.3の「長期的な生産性」の出だしだ。

パワー,シンプルさ。柔軟性。短期的な生産性を劇的に改善するRubyの特徴は、
生産性の高さを持続させることにも貢献しています。
重複が排除され、簡潔に表現されたコードは、読みやすく理解しやすいので、
保守性が高くなるのです。

この業界にいれば、どこかで見かけるコピペだらけのコード。
動けばよいと思っているコード。


保守性が全く意識されていないコード達。


もしかしたら、Rubyになっても開発者の方々のマインドが変わらなければ同じことを繰り返すのだろう。


でも、Rubyにあるマジックが多分阻止してくれると思う。
複雑怪奇に入り組んだコードが、すっきり、シンプルに一行にまとまる。
その快感を一度覚えると、書き直したくてたまらなくなる。


Rubyにはそういったリファクタリングを誘発する魔力がある*1
下記の本はこの楽しさを伝えてくれる本だ(こちらもおすすめ)。




倉貫氏も指摘しているが*2
巻末の角谷氏の言葉は非常に熱い。

僕を「Ruby から Java から Rubyへ」と誘ってくれているように思う。
移行は通算3度ほど失敗しているがもう一度やってみようという気持ちにさせてくれる。


この本は好著だ。立ち読みでもよいので読むべきだ。
世界が変わる。明日が楽しみになる。


きっと、僕らはそういった毎日がどきどきする世界に暮らすべきなのだ。
そして、Rubyはそのためのよい道具になってくれると思う。
この本はそう思わせてくれる。



とは言いつつ、案外この本冷静に Java から Rubyへ移行するための戦略がきちんと書かれているので
そちらを冷静によまれるのも一興かと。

*1:このリファクタリングを誘発する件ってあまり言及する人がいないけど僕だけ?

*2:http://d.hatena.ne.jp/kuranuki/20070422